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視準

<労基法でよもやま話>(37)
通勤災害と認められないことも?

《質問》自宅からアルバイト先の会社に向かう途中、最寄り駅の階段で誤って転倒し足を骨折してしまいました。会社の上司からは、仕事中のケガではないので、労災補償の対象にはならないと言われましたが、この場合、自分の健康保険で治療しなければならないのですか?
《回答》労災保険は、正社員、アルバイト、パートタイマーなど名称や働き方にかかわらず、適用されます。
 労働者が、通勤途上で負傷した場合(通勤災害といいます)には、労災保険から保険給付(治療費や、負傷のため仕事を休み賃金を受けられないときの休業給付など)が行われます。給付内容は、アルバイト、パートタイマーも正社員と同じです。(後略)
(厚生労働省サイト「確かめよう労働条件」)
 仕事帰りの電車で泥酔した男性にからまれている女性を助けたものの、蹴られて骨折したため、通勤災害として労災を申請するも認められず、裁判に訴えたが敗訴したという報道を先日見かけました。
 仕事場への行き帰りに負傷した場合、通勤災害として労災保険の給付対象となります。正社員でもパートでもアルバイトでもみな対象となります。ですから、質問のケガは労災として扱われることになります。ただし、通常の経路から逸脱したり(日常品の購買や夕食などのために寄り道するのは可)、日常の範囲を超える行為によるケガは通勤災害と認められません。
 先ほどの骨折した方は、降車した相手と電車を降りろ降りないと諍(いさか)いになり、飛び蹴りをくらってホームでつかみ合いとなりました。このトラブルは通勤との関係が薄く、通勤の中断中または中断後の出来事とされたため、通勤災害とは認められませんでした。なお、この方は約2カ月半仕事を休まざるを得なかったそうですが、労災ではないので休業給付も受けられないことになります。
 通勤災害の場合、それが日常の範囲と認められるかどうかが可否の判断の決め手になることが判例を見ていると多いようです。
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  千本 沢子


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