2025年 編集サービス 6.20 #2 社会 7月は河川愛護月間 川に浮かぶ プラスチックごみを考える 大阪産業大学 建築・環境デザイン学部 花嶋 温子  7月は河川愛護月間です。梅雨で川の水かさが増し、水辺の景色が一段と印象的になるこの時期に、ぜひ考えてほしいのがプラスチックごみの問題です。実際、若い世代を中心に、川や海に浮かぶプラスチックごみに関心を寄せる人が増えています。 高・大学生の関心は 海洋プラごみ  環境省の調査(2022年)によれば、高校生や大学生の関心が高い環境問題の一つとして「海洋プラスチックごみ」が常に上位に挙げられています。SNS上の動画やドキュメンタリー映画によって、若者の関心が高まっているようです。  多くの人の記憶に残っているのが、2015年に公開された「ウミガメの鼻にプラスチックストローが刺さった」動画でしょう(出典:YouTube『Sea Turtle with Straw up its Nostril』)。ボートの上で亀の鼻につまったものを取り除こうとする人たちと、痛がる亀、長い時間をかけてやっと取り除いたものは、プラスチック製ストローだったという動画です。  この動画は世界中で大きな話題となり、プラスチックごみ問題への関心を高めました。また、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、2017年の世界環境デーに発表した動画で「このままいくと2050年には、海の中のプラスチックの量が魚の量を超える」という警告を発しています(出典:国連広報センター/2017年6月)。2018年には、イギリスのエリザベス女王が、BBC制作のドキュメンタリー番組「ブループラネット2」を見て、王室内でのプラスチックストローや使い捨て容器の使用を禁止する決定をし、これも大きなニュースとなりました(出典:BBC News/ 2018)。 川や海にプラごみ なぜ流れていくのか  では、なぜ川や海にこれほどプラスチックが流れて行くのか。それは、プラスチックの生産量が増えたからです。  国連環境計画(UNEP)によれば、1950年代に約200万dだった世界のプラスチック生産量は、2020年には約3億6700万dに達しています(出典:UNEP/2021年報告)。70年間で約184倍になっています。そして、ごみ処理ルートなどに適切に回収されなかったプラスチックが川や海に流れ込んでたまっています。  では、日本ではどうなのでしょう。2023年に832万dのプラスチック樹脂が使用され、同じ年に廃プラスチックとして排出されたのは769万dでした。もちろん、使われたプラスチックがすぐに廃棄されるわけではないし、何年も前のプラスチックが廃棄されることもあるので、単純にこの差が環境中に放出されたプラスチック量だというのではありません。しかし、1年間に使われたプラスチック832万dの0・5%が環境中に流れ出たとすれば、その量は4万dです。やはり、使う量を減らす必要がありそうです(出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会 パンフレット2024年)。  ちなみに、東京理科大学の田中衛さんらの研究によると、日本の河川の清掃活動で回収されるプラスチックごみの量は、年間約1000dなので、流れ出した後に回収するのは難しそうです(出典:Country-wide assessment of plastic removal rates on riverbanks and water surfaces)。  また最近、「ボトルtoボトル」といわれる、ペットボトルからペットボトルへの水平リサイクルが始まっています。以前は、ペットボトルは卵パックや衣料品用の繊維にしかなりませんでしたが、やっと、ペットボトルからペットボトルを作るようになりました。しかし、1995年に容器包装リサイクル法が制定されて、「リサイクルするからいいじゃない」ということで飲料用ペットボトルが一気に増えたように、また、「水平リサイクルするからいいじゃない」とペットボトルの利用が増えるのではないかと心配です。  2023年にペットボトルは年間280億本販売されました(出典:ペットボトルリサイクル推進協議会)。280億本のうち、仮に1万本に1本(0・01%)だけポイ捨てをされたとしても、年間280万本が環境中に放たれてしまうことになります。リサイクル技術が進歩しても、使い捨てを前提にした大量消費をしていては、環境への流出は防げません。  河川月間の今、近くの川をちょっとのぞいてみてください、必ずプラスチックごみに出会えます。  プラスチックごみを減らすためには、プラスチックの絶対量を減らすことが必要です。まずは、使い捨てない暮らしを始めてみませんか。私たち一人ひとりの選択が、世界の川や海の未来を決めます。 (11字×175行) ミニ情報 地元が生んだおいしい味・郷土料理 <高知県・皿鉢料理>  高知と言えば宴席、そこで供されるのが皿鉢料理だ。皿鉢とは清水焼などの大皿のことで、ここに“生もの”と呼ばれる料理と、さまざまな料理を組み合わせた“組みもの”を盛り付けたのが皿鉢料理だ。この料理、もともとは神事の儀式食だったが、江戸時代に武家や豪商の宴席を彩るようになった。今では婚礼や法事、還歴祝いや新築祝いなどでの宴に欠かせない。一皿に3人前ほどのボリュームで盛り付けられており、“生もの”としては刺身やかつおのたたき、“組みもの”には煮物や焼き魚、酢の物や寿司などが載る。豪快な高知を代表する料理。現在では専門の仕出し業者もでき、よく利用されているという。 #3 ボランティアインフォメーション  各種の団体やイベントでは、広くボランティアを募集している。単発のボランティア(1回だけの活動)や初心者、親子参加を歓迎するものも多い。興味のある活動、分野に参加し、新しい世界にチャレンジしよう。 *掲載している情報はKVネット(https://www.kvnet.jp)から転載したものです。 ▼内容の詳細、相談、参加希望などは、それぞれの活動の「問い合わせ先」に直接連絡を。 ●視覚障がい者アスリートと楽しくジョギング  長居公園で視覚障がい者アスリートのジョギングまたはウォーキングの伴走をお願いします。  視覚障がい者にとって走ることは、解放感を感じられる活動です。それを実現するためにはボランティアのガイドが必要。ぜひお手伝いください。ウォーキングだけでも参加可能です。 ▼日時/7月13日(日)9時半〜12時▼場所/長居公園(大阪メトロ御堂筋線「長居」駅3号出口より徒歩1分)▼費用/交通費は自己負担▼募集対象・人数/5人、@男女国籍問わず15歳以上で子ども好きな方、A1時間のランニングおよびウォーキングが可能な方(距離:3〜6`)、B日本語で基本的なことを伝えられる方(右、左、止まる、休憩しましょう、など)▼参加条件/初めての参加者は活動前に現地でガイド講習を受講▼申込締切/7月11日▼申込方法/参加希望者は、ハンズオン東京のホームページ(https://www.handsontokyo.org/topics/28/)でボランティア登録を。その後、イベントカレンダー(https://www.handsontokyo.org/events/)よりハンズオン関西をソートし、この活動を見つけてサインアップする。待ち合わせ場所などは活動ページに記載▼問い合わせ/認定特定非営利活動法人ハンズオン東京、担当・浅沼真実TEL090(1549)5482、Eメール:mami.asanuma@handsontokyo.org ●道頓堀を一緒に楽しく清掃しましょう!  大阪の観光地として有名な道頓堀の戎橋。毎日、数多くの観光客が訪れますが、たくさんのごみがあふれています。ここを訪れた方が気持ちよく過ごせるよう、界隈の清掃奉仕を15年続けているのが「道頓堀を楽しく掃除する会」です。この団体と一緒に清掃活動をしせんか。清掃場所は御堂筋から堺筋までの間です。また今回は大阪市環境局とコラボで、関西万博の開催期間中の「ごみゼロの日」にちなんだ活動となります。 ▼日時/7月5日(土)6時半〜8時▼待ち合わせ場所/ロッテリア戎橋店前▼費用/交通費は自己負担▼募集対象・人数/10人、男女国籍年齢不問。ただし15歳以下は保護者同伴▼参加条件/アルコール摂取の方は参加不可▼申込締切/7月3日▼申込方法/参加希望者はまず、ハンズオン東京のホームページ(https://www.handsontokyo.org/topics/28/)でボランティア登録を。その後、イベントカレンダー(https://www.handsontokyo.org/events/)よりハンズオン関西をソートし、この活動を見つけてサインアップする。詳細は活動ページに記載▼問い合わせ/認定特定非営利活動法人ハンズオン東京、担当・浅沼真実TEL090(1549)5482、Eメール:mami.asanuma@handsontokyo.org <情報提供/大阪ボランティア協会TEL06(6809)4901> (11字×113行) #4 労働 終戦・被爆80年 恒久平和を実現するために 私たちができること 連合大阪 政治・連帯・組織拡大グループ 副事務局長 浜口正人 世界情勢と 連合の平和運動  2025年は終戦・被爆80年の節目の年である。私たちは「安心して暮らし、働き、労働運動に携わることのできる社会」の実現をめざし、働く者の立場で訴えさまざまな取り組みを進めてきた。  しかし、今世界に目を向ければどうだろうか。世界各地で紛争や内戦が続いており、多くの人々がその影響を受けている。ロシアのウクライナ侵攻は3年が経過した今もなお続いているし、中東地域では深刻な人道危機が発生している。これらの紛争の背景には、歴史的な対立、宗教的な違い、貧困と格差、政治的不安定などの要素が複雑に絡み合っている。しかし、戦争は私たちの暮らしだけでなく、あらゆる社会基盤を破壊するものであり、決して許されるものではない。  連合は1989年の結成以来、平和運動に積極的に取り組んでいる。そして、世論を巻き込み、世界規模での絆づくりを進めることで、平和で安定した社会・暮らしの実現をめざしている。  連合は平和運動として主に次の三つの課題に取り組んでいる。 @核兵器廃絶による世界の恒久平和の実現と被爆者支援の強化 A在日米軍基地の整理・縮小、日米地位協定の抜本見直しに向けた運動 B北方領土の早期返還と日露平和条約の締結をめざす運動 連合大阪の平和運動  連合大阪は、第35・36年度運動方針に「社会連帯を通じた大衆行動、平和、人権、社会貢献の取り組みと次世代への継承」を掲げ、毎年6月から9月の平和運動強化月間に合わせて、連合本部が主催する平和4行動(沖縄・広島・長崎・根室)に参加者を派遣。記念式典やピースウォーク、平和集会への参加を続けている。  また、今年は5年に1度開催される「2026年核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議」に向けて、核兵器の廃絶と恒久平和の実現をめざし、核兵器廃絶に向けた内外の世論を高めるため、6月から「核兵器廃絶1000万署名」の取り組みを展開している。  そして、これらの取り組みに加え、終戦80年の節目を迎える今年は四つの企画を準備している。コンセプトは、より多くの方に気づきや学びの場を提供し、戦争の実相を知り、戦争の悲惨さ平和の尊さ、そして核兵器廃絶の重要性などを知ってもらい、それを次世代へ伝えていくことにある。  一つ目は「原爆展」。この展示は2014年から毎年全国で開催しており、連合大阪も連合近畿ブロックと連携して取り組んでいる。具体的には30枚のパネル展示とビデオ放映を行っており、昨年に引き続き8月2日の土曜日と3日の日曜日には、核兵器廃絶を訴え活動している高校生平和大使とも連携した取り組みを行う。  二つ目には、8月23日の土曜日に学習会と体験型イベントを組み合わせた企画をピースおおさかで開く。若年組合員はもとより、家族(子ども)も含めて幅広く参加を呼び掛ける。学習会では、大阪府原爆被害者支援協会(大阪被団協)から語り部をお招きし、戦時中の体験談を語っていただく。体験者が年々減っていく中で、戦後80年を考える貴重な講演の機会となる。  また、体験型イベントでは、大阪市学校給食調理員労働組合(大阪市学給労)の協力を得て、戦時中の食事体験として「すいとんとふかし芋」を参加者全員に提供する。食事体験の後、大阪城周辺の戦跡巡り(ピースウォーク)を希望者で行う予定にしている。これら一連の企画を通じて、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めて感じとってもらいたい。  また、「あなたにとっての平和な日常」をテーマにした「終戦80年連合大阪ピースフォトコンテスト」や「終戦・被爆80年」に関連したシンポジウムや講演会なども予定している。  連合大阪は、これらの取り組みを通じ、終戦80年の今を生きる私たちが、何を考えどう行動していくべきなのか、考えるきっかけにつなげていきたい。 持続可能で 平和な社会の実現を  戦後80年を迎え、戦争被災者、原爆被害者がいなくなる日はそう遠くない。私たちはその現実を受け止めたうえで、戦争を遠い過去の歴史として封印してはいけない。  そのために私たちができることは、戦争を知らない世代に戦争がもたらす悲惨さを語り継ぎ、平和の尊さを実感してもらうことだと考えている。実際、世界で起きている戦争や紛争をどこか他人事、対岸の火事として見てしまっていないだろうか。大国同士の政治的緊張感の高まりは、一歩間違えば第三次世界大戦の引き金にもなり得ると言われている。当たりまえではない平和の尊さや有り難さを忘れてはいけないし、今ある平和な日常は、先人たちの多くの犠牲のうえに成り立っていることを改めて認識しなければならない。  私たち連合・連合大阪は、働く者の立場で社会運動や労働運動を通じて、平和の実現に向けた責任の一端を担っている。単に戦争のない社会を平和として捉えるのではなく、さまざまな視点で平和で安定した社会の実現に向けた取り組みを推進する。  今こそ私たちは、連合結成時のスローガン「平和 幸せ 道ひらく」の原点に立ち返り、世界の働く仲間との国際連帯を強め、恒久平和の実現、核兵器の廃絶、自由で民主的な世界の構築に向けて行動していくときである。  「願う平和」から「叶える平和」へ、連合運動を通じてその責任と役割を果たしていきたい。 (11字×199行) #5 労働ニュース 労災の死亡者数 過去最少に  厚生労働省は5月30日、令和6年の労働災害発生状況を公表した。  令和6年1月から12月までの死亡者数は746人で過去最少となった。業種別では建設業が232人(前年比9人、4・0%増)で最も多く、製造業が142人(同4人、2・9%増)、陸上貨物運送事業が108人(同2人、1・8%減)と続いた。事故の型別では、墜落・転落が188人(前年比16人、7・8%減)で最も多く、交通事故(道路)が123人(同25人、16・9%減)、「はさまれ・巻き込まれ」が110人(同2人、1・9%増)と続いた。  死傷者数は13万5718人で、4年連続の増加となった。業種別では、製造業が2万6667人(対前年比518人、1・9%減)で最も多く、商業が2万2039人(同366人、1・7%増)、保健衛生業が1万8867人(同81人、0・4%増)と続いた。事故の型別では、転倒が3万6378人(前年比320人、0・9%増)で最も多く、腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が2万2218人(同165人、0・7%増)、「墜落・転落」が2万699人(同59人・0.3%減)と続いた。 (11字×43行) ものづくり≠フ就業者コロナ禍以降不足  政府は5月30日、「令和6年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を閣議決定した。  製造業の就業者数は、2023年の1055万人から2024年は1046万人と減少した。中小企業の産業別従業員数過不足DIは、製造業では2020年に新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受け過剰に転じたが、それ以降不足となり、2024年にはマイナス18・2と、感染症が拡大する以前(2019年)と同水準となった。  「ものづくり企業におけるDXの取組状況と人材活用」では、デジタル技術の導入のきっかけは、従業員規模が小さい企業は、経営者・役員の発案の割合が最も高く、従業員規模が大きい企業は、社内からの要望(経営者、役員以外)の割合が最も高い。デジタル技術の導入では、約6割の企業が社内人材の活用・育成により人材確保を行っており、約2・5割が新たな人材確保を行わず導入部署の既存人材のみで対応している。 (11字×38行)  転職検討中の6割 賞与支給後に転職予定  潟}イナビは6月5日、「2025年夏ボーナスと転職に関する調査」の結果を公表した。  転職を検討している正社員のうち「今年の夏の賞与支給後に転職する予定」と答えた正社員は58・3%となった。一方で「賞与額が高かった場合に転職を思いとどまる可能性がある」と回答した人は51・5%だった。  前年夏の賞与額は平均59・6万円で、自分の仕事に見合うと思う理想の賞与額は平均98・2万円となり、前年の賞与額と理想の賞与額のギャップは38・6万円だった。  「転職先を選ぶ際に賞与金額を重要な情報」と捉えている人は68・6%だった。一方で「選考時に賞与について質問しづらい」と感じている人は73・0%だった。賞与に関する情報の重要度は高いものの、実際には選考時に確認しづらいというギャップが存在している。  前年夏の賞与額が基本給の何カ月分だったか聞いたところ、最も多かったのは「約2カ月分(22・5%)」で、転職先に求める最低水準でも「約2カ月分(30・0%)」が最多だった。 (11字×40行) #6 労働安全衛生 数える労働安全衛生(202) 年千人率2.4と22.8 一桁高い林業の被災率  1年間に千人のうち何人が被災するかを表す年千人率という指標がある。2023年の全産業の平均は2・4だが、林業はなんと22・8。まるまる一桁多い。次に来るのが木材・木製品製造業で11・9、3番手が鉱業で9・9だからダントツの数字だ。  林業従事者が仕事をする現場は、屋外であるうえに、いつもは人が出入りすることのない山林で、急傾斜地や不整地がほとんどだ。そもそも整備された労働環境とは正反対が普通。加えて、使用する機械はチェーンソーに刈払機といった刃物がむき出しの動力機械であり、対象となる立木はというと、人手では動かない重量物だ。  おまけに作業に従事するときは、半径100bに一人ということも珍しくなく、万が一の災害発生時の発見が遅れて手遅れになるなどという事例も多い。  こうした厳しい労働現場の状況については、法制度上の対策もたびたび強化されてきたところだ。例えばチェーンソーによる伐木等作業の安全対策は近年では随分強化された。  市街地から離れた山林内の作業は、緊急時の連絡に支障がある場合も多く、「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」も策定されている。特に連絡手段として携帯電話やスマートフォンの活用も特記されている。  これほど危険な仕事だが、自然との関わりがこれほどダイレクトな仕事は他にない。衰退産業と言われながらも、社会に不可欠な産業であることには変わりなく、普通の産業並みの安全確保は必須だ。 連合大阪労働安全衛生センター 参与 西野方庸 (10字×65行) 情報 兵庫県立美術館「藤田嗣治×国吉康雄」 巨匠二人の代表作が集結  20世紀前半、藤田嗣治と国吉康雄の二人の画家はそれぞれパリとニューヨークで成功し、名を馳せました。両者がともにパリに滞在していた1925年から今年で100年目になることを機に、特別展「藤田嗣治×国吉康雄:二人のパラレル・キャリア―百年目の再開」が兵庫県立美術館で開かれています。  1886年生まれの藤田は1913年にフランスに渡り、乳白色の下地が称賛され、エコール・ド・パリの寵児(ちょうじ)となりました。一方、藤田より3歳年下の国吉は16歳で労働移民として渡米。ニューヨークでアートを学んだのを契機に米国で画家への道を歩みます。ともに海外で高い評価を得た二人は、1925年と28年の国吉の渡仏、1930年と49年の藤田の渡米と接点がありながらも平行したキャリアを送りました。  展覧会では二人の巨匠の作品を対比させながら9章に分けて時系列に紹介。手紙や資料も用いて同時代に海外で活躍した二人の芸術家の軌跡を描き出しています。  藤田・国吉の二人に焦点を当てた展覧会は国内外で初めての試みです。巡回はなく、兵庫県立美術館のみでの開催となります。 ▼会期/8月17日(日)まで▼会場/兵庫県立美術館(阪神「岩屋駅(兵庫県立美術館前)」から南へ徒歩約8分)▼開館時間/10時〜18時(入場は17時半まで)▼休館日/月曜日、ただし7月21日と8月11日は開館、7月22日と8月12日は休館▼観覧料/一般2000円、大学生1200円、高校生以下無料、70歳以上1000円、障害者手帳などをお持ちの方(一般)500円、障害者手帳などをお持ちの方(大学生)300円、その介助の方1人は無料(一般以外は要証明書)▼TEL078(262)1011 (11字×65行) *国吉康雄 《幸福の島》1924年 東京都現代美術館 #7 コラム ニュースな暮らし(73) 「猫の薬師小路」を何と 読みますか  鹿児島市には藩政時代から戦前まで、旧城下町に「小路(鹿児島弁で「しゅっ」)」と呼ばれる細い路地があった。その場所には名残として、小路の名を刻んだ石碑が建てられている。幕末から明治にかけて活躍した人物を輩出した加治屋町。ここには現在N銀行が建っている場所と、500b離れた「大久保利通生い立ちの地」を結ぶ道に「猫の薬師小路」の碑がある。  30代の頃、知人がこの小路沿いに事務所を借りて事業を始めた。彼はその場所を「猫んくそ事務所」と称していた。古くて狭い部屋だったので、自虐的に呼んでいるのかと彼に聞いた。「この先の石碑に答えがある」と勧められ、足を運ぶと碑には「猫(ねこ)の(ん)薬師小路(くそしゅっ)」と鹿児島弁の呼び名が振ってあった。  ちなみに1890(明治23)年には、この付近にザビエル教会の前身となる仮聖堂が構えられた。名は「猫糞教会」。布教したのは五島列島の隠れキリシタンから司祭になった嶋田喜蔵神父だった。鹿児島弁が分からない神父が、近所の人がしゃべる「くそ」の言葉に漢字を当てたのだろう。  猫の薬師という名がついたのは、この付近に猫、犬の病気を治す医師(薬師)が住んでいたからだと言われる。問屋町、大工町、紺屋町、塩屋町など、同じ職業の店が軒を並べた地域には、職種名が地名として残っている。たった500bの通りに名を残すほど犬猫病院が何軒もあったのか。薩摩藩の人々と犬猫の関係がどうだったか興味がわく。  再開発で、地域の地形や歴史を刻んだ地名が、ロードローラーで押し潰(つぶ)されるように、のっぺらぼうな地名に変えられることに寂しさを感じる。 浜床たかし (11字×61行) 労働コラム 労基法でよもやま話(51) 労働条件、LINEで送れるか? 《質問》LINE等のSNSを利用する場合、PDF等のファイルを添付せずに、本文に直接入力することは可能ですか。 《回答》本文に直接入力する場合でも、紙による出力が可能であれば、「出力することにより書面を作成することができる」ものに該当しますが、労働条件の明示を巡る紛争の未然防止及び書類管理の徹底の観点から、モデル労働条件通知書へ記入し、電子メール等に添付し送信する等、可能な限り紛争を防止しつつ、書類の管理がしやすい方法とすることが望ましいです。 (厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A」)  学生がメールを使わなくなったと言われて久しいです。物心ついたころからスマホが存在していた今の大学生にとって、家族や友人との連絡に使うのはLINEが90%以上で次いでインスタグラムのDMです。そして携帯電話・スマホのキャリアーメールを使うのは14・4%(他にGmailが9%超)だったという調査結果があります(東工大新入生調査2023)。他の調べによると、学生の電子メールの使用割合は就活が始まると増えるようです。  2019(平成31)年に労働基準法施行規則が改正されて、それまで書面の交付に限られていた労働条件の明示方法が、FAXや電子メール、SNSでも可能になりました。ただし、「労働者が希望した場合」に限られ、「出力して書面を作成できるもの」である必要があります。  出力して印刷できるかどうかは労働者の事情(プリンターを持っていないなど)によらず一般的に出力できる状態であればよいようです。回答のとおり、SNSの本文に記載したものでも紙に印刷することができれば一応OKです。  今は学生でなくても連絡の手段はもっぱらSNSという人が多いでしょうから、労働条件がLINEで送られてくること自体には抵抗がないかもしれません。しかし、後々のためにはできれば形式に則(のっと)った労働条件通知書のかたちで保存しておいたほうがよさそうです。 大阪産業労働資料館 エル・ライブラリー 千本沢子 (11字×78行) #8 社会 介護保険歩みとこれから(3) 利用料の負担拡大反対 介護保険の利用には 要介護認定が必要  第1被保険者と特定疾病に罹患(りかん)した40歳から64歳までの第2号被保険者は、介護保険が利用できます。利用には「要介護認定申請」が必要で、住居地の市町村の窓口で行います。その後の流れは次の通り。  認定調査員による訪問調査。主治医の意見書を付けた調査結果を「介護認定審査会」で審査し介護度を判定。後日、判定結果の通知が届いたらケアマネージャーに自分の希望に基づくケアプランを作成してもらいます。そして介護サービス事業所と契約を結び、サービス(訪問介護や福祉用具の貸与など)の利用を開始します。  2017年から要支援1と2の訪問介護・通所介護が市町村事業へと移行されました。そのため市町村によってはチェックリストでの判定で、認定調査を行わないところもあります。必ず認定調査を求めましょう。 サービスの利用は 1割負担が原則  介護保険制度は、保険料は所得に応じて支払う応能負担、サービス利用料は応益負担(1割負担)でスタートしました。それは、所得の多寡に関わらず受けるサービスは同じだからです。「リスクに直面してニーズが顕在化し、給付を受ける時に自己負担率に差を設けることは社会保障の理念にそぐわない(1962年社会保障審議会)」という理念に即しています。  しかし、2015年8月から一定所得(年金のみの場合年280万円以上)の方は2割負担に、また2018年8月からは3割負担(年金のみの場合年344万円)も導入され、法の趣旨と違う動きが起こっています。さらに、利用料を原則2割負担にしようという動きがあり、社会保険審議会介護保険部会で繰り返し議題に上がっています。  その都度、押し返してはいますが、厳しい状態です。この物価高の折、生活を直撃する負担拡大です。年金生活者が利用を控え、重度化するという事例が多く出ると考えられます。原則2割の導入はあり得ません。 高齢社会をよくする女性の会・大阪 代表 植本眞砂子 (11字×73行) #9 労働運動史 大阪の労働争議アレコレ(3) 大正の米騒動@-前史  1914年に始まった第1次世界大戦による好況は、物価高騰をもたらし、賃上げ要求争議が頻発しました。これに危機感を抱いた大阪市役所は、1917年7月から大阪市電の従業員や市役所で掃除などを行う雑役人夫を対象に、米価手当の支給を始めています。  この手当は、米1升(=100合)の基準価格を18銭として、それを超過した差額の20倍を支給するものでした。なぜ20倍かというと、夫婦が1カ月に食べる米の量を2斗(20升)と計算したためです。2人で月に200合も食べるとは!米5キロがほぼ33合に相当するので、毎月5キロの米を6袋購入していたことになります。貧しい家では、副菜は味噌汁や漬物などしかなかったので、米を食べて命をつないでいたのです。  1917年11月、ロシア革命により帝政が廃され、世界初となる社会主義国が誕生しました。これに危機感を抱いたアメリカをはじめとする資本主義諸国は、1918年に入ると、ロシア革命をつぶそうと共同出兵を企図。日本政府もこの動きに同調しました。  ここで暗躍したのが米商人です。軍が出兵するとなると、多くの食糧が必要です。それを見越して、米商人は米を買い占め、出兵がはじまったら政府に高値で売りつけようと目論(もくろ)んだのです。  1918年はじめに1升25銭だった米価は、7月末には40銭近くまで上がりました。8月2日に政府がシベリア出兵を発表すると、毎日1銭ずつ値上がりし、9日には50銭に跳ね上がりました。  7月23日に富山県で米騒動が始まっており、大阪市役所もその動向に危機感を抱いていました。そこで、大阪市役所は、8月5日から市内4カ所の公設市場で朝鮮米を1升37銭で売り出しました。殺到した市民により米は1時間で売り切れ、翌日以降は、朝3時半から並ぶ人もいました。  ただし、朝から並んでいるのは「立派な家の女中や丁稚(でっち)」ばかりでした。貧乏人は、朝早くから米のために並ぶ暇などなく、日銭を稼ぐために必死に働かなければならなかったからです。この貧乏人の怒りが爆発するさまを、次回で紹介します。 エル・ライブラリー特別研究員 黒川伊織 (11字×80行) 情報 特別展「CELADON―東アジアの青磁のきらめき」 気品あふれる青磁の魅力  つややかで美しい青緑の色彩と気品あふれる姿に見とれてしまう。そんな青磁の美と魅力に出会える展覧会が開かれている。それが大阪市立東洋陶磁美術館の特別展「CELADON―東アジアの青磁のきらめき」だ。  2世紀の中国で誕生したという青磁。その後、発展を遂げながら朝鮮半島や日本、そして世界へと広まっていった。特に東アジアの陶磁の歴史の上では重要な位置を占め、その美しさから人々を魅了、権威や富の象徴となった。また欧米では青磁を「Celadon(セラドン)」という名称で呼び、人々に親しまれている。  特別展では、国宝《飛青磁花生》や重要文化財《青磁刻花牡丹唐草文瓶》など、東洋陶磁美術館(MOCO)コレクションの名品が勢ぞろいする。また中国、韓国、日本と各地で生み出された青磁の展示を通して、時代や生産地、窯の焼成環境によって微妙に変化する青磁の色合いや、それぞれが醸し出す表情を見ることができる。  そして、ロビーでは国宝《油滴天目茶碗》と《青花虎鵲文壺》を特別展示。これも必見だ。世界に誇るMOCOコレクションを堪能する展覧会となった。 ▼会期/11月24日(月・振休)まで▼会場/大阪市立東洋陶磁美術館(京阪中之島線「なにわ橋」駅下車すぐ、大阪メトロ・京阪「淀屋橋」、「北浜」各駅から約400b、大阪市中央公会堂東側)▼開館時間/9時半〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日、ただし祝日の場合は翌火曜日(8月12日は開館)▼入館料/一般2000円、高・大学生800円、中学生以下・障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1人を含む)・大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明書)▼TEL06(6223)0055 (11字×65行) *重要文化財《青磁鳳凰耳花生》。13世紀の中国・龍泉窯で焼かれた青磁の壺で、鳳凰をかたどった耳が付いている。 #10 健康 こころとからだの健康づくり(302) 体力アップのために 速歩を入れてウォーキング  健康のためのウォーキングと聞けば、まず浮かぶのが「1日1万歩」。それを目標にしている人も多いと思います。しかし漠然と1万歩を歩くだけでは、期待するほど生活習慣病のリスク軽減につながりません。体力アップや生活習慣病予防のためにウォーキングを行うには、質と量が大切です。  厚生労働省の1日1万歩説の根拠にあるのは、世界的に運動で1週間に2000`iを消費することが推奨されたこと。これは1日当たりにすると約300`iの消費にあたります。体重60`の人が時速4`で1万歩歩くと消費カロリーはおよそ300`i。しかし1日1万歩の効果を示す研究結果はほぼありません。  そこで最近では1日7000〜8000歩をめざしましょうと言われています(膝や腰の負担を減らすためにも)。  運動強度を設定することで、体力増進、生活習慣病予防の効果が現れやすくなります。筋トレの強度は重さや回数で定めますが、ウォーキングの強度は自覚的運動強度や心拍数で定めます。自覚的運動強度とは「ややきつい」と感じる強さのこと。この時の心拍数は、最大心拍数の約60%です。また目標心拍数の求め方は「(220―年齢―安静時心数)×0・6+安静時心拍数」になります。 *安静時心拍数とは起床時などのような状態で、手首や頸動脈で脈を10秒測り、6倍したもの(安静時心拍数は平均60〜70拍/分)。  速歩の基準となるのが、ややきついと感じる自覚的運動強度と目標心拍数になります。また辛うじて話ができるペースになります。この速歩を3分行い、3分ゆっくり歩くを5セット。トータル30分行います。効果を出すためには速歩が1日計15分になるようにしましょう。一度に5セットを行うのが難しければ朝と夜に2セットずつ、お昼に1セットと分けても大丈夫です。頻度は週に3〜4回をめざしましょう。  速歩も3分であれば続きやすく、次に3分休むことで体力が回復し、自然とまた速歩が楽にできるようになります。 速歩の姿勢  猫背で歩くような姿勢では速歩は行えません。まずは視線を25bくらい先におきます。背筋が伸びて前方へ移動しやすく、胸が自然に張れることで、呼吸もしやすくなります。  次にできるだけ大股で膝を伸ばして踵(かかと)から着地します。大股だと下半身の大きな筋肉が使われ、推進力も得やすくテンポ良く歩けます。そして肘を90度に曲げて、引くことを意識して前後に大きく振りましょう。  いつものウォーキングを少し形を変えて、速歩でスピードをつけて生活習慣病や体力アップをめざしましょう!  健康運動指導士 竹田 薫 (11字×102行) 情報 京都文博で特別展 和食の魅力に迫る  京都文化博物館では7月6日まで特別展「和食〜日本の自然、人々の知恵〜」を開いている。  健康食として海外で受け容れられるようになった和食が、ユネスコ無形文化遺産に登録されたのは2013年だ。その後来日する観光客が増え、また大阪・関西万博が開かれていることにより、ますます和食に注目が集まっている。  そんな和食を取り上げ、その魅力に迫るのがこの特別展だ。和食を支えるさまざまな食材の多様性を体感したり、縄文時代から現代まで、人々の知恵や海外との交流を通じて発展してきた和食の歴史をひもといたりしている。  また京都会場オリジナル企画として、将軍・足利義晴が食していた将軍御膳の再現展示もある。知っているようで知らない和食。興味が広がる特別展だ。 ▼会期/7月6日(日)まで▼会場/京都文化博物館(地下鉄「烏丸御池」駅5番出口から東へ徒歩約3分)▼開室時間/10時〜18時、金曜日は19時半閉室(入場はそれぞれ30分前まで)▼休館日/月曜日▼観覧料/一般1800円、高・大学生1400円、小・中学生600円、障がい者手帳などを提示の方(付添1人を含む)は無料▼問い合わせ/京都文化博物館TEL075(222)0888 (11字×48行) #11 自然 生命の海の生きもの(65) 平和と自然保護の象徴 「ジュゴン」  今年4月、久米島沖でジュゴンが泳いでいる姿が撮影されてニュースになった。久米島でのジュゴンの確認は数十年ぶり、沖縄県内でも2019年以来のことだ。この貴重な撮影を祝してジュゴンを紹介する。  成長すると全長3b、体重450dに達する大型の海生ほ乳類、ジュゴン。ジュゴン科の生物のほとんどは化石での発見であり、現生の生物はジュゴンのみだ。直近ではステラーカイギュウという大型の仲間がいたが、18世紀頃絶滅した。よく似た生きものにマナティがいるが、こちらはマナティ科。ジュゴンは海でしか暮らさないのに対し、マナティは淡水で暮らすか、海水で暮らしていても淡水を飲まなければ生きていけない。身体の生理的構造が大きく異なっているのだ。  穏やかなイメージの通り動きはのんびりとしており、通常は浅い海の底を胸びれで這(は)うように動くことが多い。通常の遊泳速度はわずか時速3`ほどと極めてゆっくりだ。ほ乳類なので当然肺呼吸で、5〜15分ほどの間隔で息継ぎをする。  主な分布域は西太平洋からインド洋、亜熱帯から熱帯の浅い海で、世界的に見るとオーストラリア北部海域に最も多く生息している。日本周辺では南西諸島周辺にのみ生息するが、明治中ごろから乱獲されて著しく減少。今や冒頭に述べたような状況で、確実な出現記録はごくごくわずか。環境省のレッドリストで絶滅危惧TA類、つまり絶滅の危機に瀕している種に指定されている。  鳥羽水族館で長期にわたって飼育されているせいか、珍しいという印象があまりないかもしれないが、水族館ですら世界中で鳥羽とシドニーの2カ所でしか飼育されていない。じつは神経質で飼育が非常に難しい生きものなのだ。  また、超偏食なことも飼育の困難さに拍車をかけている。かつて鳥羽水族館のジュゴンは鮮度のいいアマモしか食べず、韓国からの空輸で年間の餌代がなんと2千万円。動物園・水族館で最も餌代のかかる生き物だった。しかし試行錯誤の結果、現在ではロメインレタスだけは食べてくれるようになったという。  その希少さと基地問題で揺れる沖縄という生息域もあって、平和と自然保護の象徴として扱われているジュゴン。当人たちはそんなことはつゆ知らず、今日ものんびりとグルメに海藻を食んでいるのだろう。(和) (11字×87行) *絶滅の危機に瀕しているジュゴン。飼育も難しく、世界中の水族館のうち飼育しているのは2カ所のみだ 情報 映画『かづゑ的』と 監督のトーク  エル・ライブラリーとヒューライツ大阪が主催する企画「ドキュメンタリー映画『かづゑ的』上映と熊谷博子監督のトーク」が8月30日、エル・おおさか南館の南ホールで開かれる。  この作品は、元ハンセン病患者の宮アかづゑさん(94歳)に8年間寄り添い、彼女の力強い生きざまを記録したドキュメンタリーだ。  かづゑさんは長島愛生園で80年以上暮らし、よき伴侶も得た。だが手指や脚を失い、目もほとんど見えない。それでも本が好きで、84歳の時には自らの人生を綴った著作を出版した。  そんなかづゑさんに出会える上映会。当日は熊谷監督のトークもある。 ▼日時/8月30日(土)13時半〜16時半▼会場/エル・おおさか南館5階南ホール(京阪・大阪メトロ谷町線「天満橋」駅2番出口より西へ300b)▼参加費/一般:前売り800円、当日1000円、主催団体の会員:800円▼申し込み方法/Peatix(http://2025-8-30kazueteki.peatix.com)から▼申込み締切/8月29日13時▼問い合わせ/エル・ライブラリーTEL06(9647)7722 (11字×43行) #12 デジタル 個人的DXのススメ(25) AIに「人格」を設計する ―思考構造と表現スタイル  AIに「○○の専門家として答えて」と頼むと、専門用語を使った解説を返す。一方、「やさしく教えて」と頼むと、フレンドリーな語り口で説明する。AIのふるまいは、このようにプロンプト次第で自由に調整できるが、その設定には大きく二つの視点がある。  ひとつは、AIが「どんな情報を、どう扱うか」を決める枠組みで、ここでは「構造的人格」と呼ぶ。これは、専門性や視点、立場といった「考え方の土台」に関わる設定だ。もうひとつは、AIが「どう語るか」という表現のスタイルで、「スタイル人格」と呼ぶ。こちらは語調やトーン、形式など、出力の「伝え方」に関わる。いずれも一般的な用語ではないが、説明の便宜上この区別を使いたい。  たとえば、構造的人格では、「あなたは医療現場に詳しい政策アドバイザーです」という具合に「役割」や「専門性」を与える。これにより、AIは情報の取捨選択や論理展開の基盤となる知識や視点を獲得し、応答の方向性が定まる。一方のスタイル人格では、「専門用語を避け、小学生にもわかるように説明してください」と語り方や表現方法を指定する。  構造的人格とスタイル人格は、どちらか一方だけを指定することもできるが、組み合わせることで、的確かつ読みやすい応答になる。  この二つの視点を意識してプロンプトを設計すれば、AIの応答は単なる演出にとどまらず、目的に応じた深い思考を引き出せる。 (11字×54行) 食べもの おいしいもんめぐり(97) サクサクで甘ーい  行列必至のスイーツ店が軒を連ねる阪急うめだ本店。その一つが「シュガーバターの木」だ。  人気の秘密は、おいしいのは当然として、ここだけでしか買えない限定商品と有名キャラクター、スヌーピーとコラボしたパッケージ商品だ。さてそのお味は。  さっそく購入希望者の列に加わり整理券を入手、阪急限定商品のWたっぷりショコラサンド横綱WとスヌーピーパッケージのWシュガーバターサンドの木Wをゲットした。  まずは定番商品から。全粒粉やライ麦など7種類の素材をブレンドして焼き上げたシリアル生地。シュガーがまぶされているその生地に挟まれているのはホワイトショコラだ。サクッとした食感とバターの香り、そこにミルキーなショコラが加わり、思わずおいしいと口をつく。期待を裏切らない定番の味だ。  次は限定商品の横綱=B定番より質感がしっかりしている生地にボリュームたっぷりのホワイトショコラが挟まれている。贅沢(ぜいたく)感が漂い、味も量感も名前の通り横綱級ときた。うーん満足。  他にも白桃やイチゴなど季節に合わせた味を展開中。おやつにお土産にぴったりの商品だ。 〈シュガーバターサンドの木〉 ▼価格(税込み)/「横綱」(10枚入り)1274円、「スヌーピーパッケージ」(12枚入り)1857円、他▼販売店/シュガーバターの木(阪急うめだ本店B1)▼営業時間/阪急うめだ本店に準ずる▼TEL06(6361)1381 (11字×55行) *スヌーピーパッケージの定番商品。手前にあるのは限定商品の“たっぷりショコラサンド横綱” #13 本 最近読んだ本 考古学者だけど、発掘が出来ません。多忙すぎる日常 角道亮介/大城道則/ 青山和夫 著 忙しくても 発掘調査に出かけたい  アートディレクターにキュレーター、潜水艦の料理人に花火師など興味がそそられるが、その仕事の内容はよくわからないという職業がたくさんある。考古学者というのもその一つだ。各地の遺跡を発掘、調査研究しているのだろうというくらいは想像できるのだが…。さてその実態は。  そんな素朴な疑問に答えてくれるのが本書、「考古学者だけど、発掘ができません。多忙すぎる日常」だ。なんといってもこのタイトルがいい。どんな業務に追われ発掘調査ができないのか。考古学者の本音に出会えると期待させてくれる。  本書に登場するのは3人の考古学者だ。まずはエジプト考古学者の大城道則さん。  駒澤大学の教授である大城さんのスケジュールは、大学での授業に学内の各種会議、学区内外の公開講座、そしてそれらに付随する資料づくりなどで埋められているという。だからエジプトでの発掘調査はその多忙な日常の間隙(かんげき)をついたわずかな時間。2泊4日でエジプトの調査に出かけた、なんてこともあったとか。  2人目は中国・殷周(いんしゅう)時代を研究する角道亮介駒澤大学教授。彼にとっての発掘調査の現実は「書類片手に役所に通い、遺跡周辺の住民に挨拶(あいさつ)回りをし/調査予算の少なさを嘆き、出土した遺物の整理と報告書の執筆に忙殺される」だという。なかなか厳しい実態だ。  そして3人目がマヤ文明を専門分野としている茨城大学の教授、青山和夫さんだ。青年海外協力隊で関わった遺跡調査でマヤ文明にはまった青山さん。蚊の大軍に襲われたり、宿舎の近くにジャガーが現れたりと危険と隣り合わせの調査をいくつもこなし、わずかな食事時間以外は石器の分析に没頭しと、働き方改革とは無縁の日々だったという。だがその一方、現地で生涯の伴侶、妻ビルマさんに出会うという幸運もあった。  それぞれの発掘現場でのエピソードやこぼれ話もふんだんにある。そして「多忙であればあるほど発掘現場に出かけたくなる」という言葉も。彼らの考古学への愛があふれていた。(ぴ) (11字×76行) *ポプラ社 本体1600円+税 本 おすすめBOOK 強い武将ほど恨んでいた! 裏切り合戦図鑑 YUKIMURA 著 小和田 哲男 監修  まるで映画のようなクオリティーが評判を呼び、チャンネル登録者数が20万人を超える戦国時代の戦を紹介するYouTube「YUKIMURA CHANNEL」を運営している歴史研究家が著者。「裏切り」をテーマとした戦国時代の合戦図鑑だ。  戦国時代では、恨み・妬(ねた)みが発端となった合戦、また合戦中に反旗を翻すなど、戦に「裏切り」が絡むものが数多く存在する。有名な戦では、本能寺の変や関ヶ原の戦いもその一つである。  図鑑には30もの裏切り合戦を掲載。イラストと図解を活用してフルカラーで丁寧に解説されている。また、それぞれの合戦の原因や動機などについて通説と著者自身の見解が明示されているため、とても読みやすい。  歴史や戦国時代に興味がある方にぜひおすすめしたい一冊。(K) (11字×31行) *KADOKAWA 本体1980円(税込) #14 食べもの 暮らしの中の魚(178) ジャコエビ  瀬戸内海は埋立が行われる前には「エビの海」と呼ばれるくらいたくさんエビがとれた時代がありました。水揚げの多くはサルエビ、アカエビ、トラエビ、キシエビという6〜8aくらいの小エビ類で、一括してジャコエビと呼んでいます。今は水揚げが少なくなりましたが、梅雨時分になると上向きます。  漁法は「エビこぎ」や「石げた網」と呼んでいる底引き網です。エビは死ぬと単価が大きく下がるので、生産者は網をゆっくり引き上げるなど活(い)かして持ち帰ることに苦心しています。出荷業者は活きているエビの海水にミカンジュースをさっと振り、色つやを出すという裏技を使って出荷しています。これは活きているエビでないと効果がありません。  エビは一時にまとまって水揚げされるため保存にも知恵を絞りました。瀬戸内地方には小エビを塩水で茹(ゆ)でて乾燥させた干えび加工の伝統があります。江戸時代より諸色(しょしき)といってコンブやスルメなどとともに清(中国)への重要な輸出品でした。  ジャコエビは産卵前の今が食べ頃、甘みとうまみを堪能しましょう。  おすすめは播磨灘・家島の家庭料理として愛されるエビカレーです。ジャコエビは4皿分で500グラム用意し、頭とむいた皮をフライパンで軽く炒めます。鍋に昆布だしとローレルを入れ、炒めた頭を加えて15分くらい煮てあくをとり、ざるでだし殻を濾(こ)します。煮ているときにスプーンでエビみそを絞り出すとだしがよくとれますよ。これでスープが完成。むき身は最後に入れるので冷蔵庫に入れておきましょう。次に玉ねぎを中火で炒めて茶色くなったらジャガイモなどの野菜を加え、さらに炒めて全体に火が通ったらスープに入れて煮込みます。お好みのルーを入れ、続けてエビの身を入れてとろみが出るまで煮込んだら完成です。  むき身を最後に入れるのはエビのうまみを残しておくためです。半日ほど置くとなじんでよりおいしくなりますよ。これから8月にかけて地元の小エビを食べて梅雨や暑い夏を乗り切りましょう。 (11字×76行) *ジャコエビはから揚げやなすびと煮物にしてもおいしい エッセイ いつもランラン(342) 森友問題、再調査を  森友学園問題。あれから随分時間が立ってしまったが、その真相はいまだ闇の中だ。  そこに一石を投じる判決が1月30日に出た。それが大阪高裁の「森友学園めぐる文書の不開示の決定取り消し」だ。これは、公文書改ざんを強いられ自死した赤木俊夫さんの妻雅子さんが、国を相手に情報の不開示決定取り消しを求めた訴訟。2月6日に国は上告を断念し、財務省は4月から順次開示を始めている。  開示される関連資料は膨大な量となる。これらをすべて読み解き、真相に迫るには相当な時間が必要だろう。だが、なぜ事件が起こったのか、なぜ文書の改ざんを赤木さんに強いねばならなかったのか。ぜひとも解明してほしい。  安倍元総理が「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と発言したあと、公文書の改ざんが始まった。改ざんを指示した人、改ざんを強いられた人、そして嘘をつき続けた人…。その影響は計り知れない。  6月に開示された資料の中に「赤木ファイル」が含まれていたという。雅子さんはこれを読み、亡き夫の人生をたどっているのだろう。  森友学園問題はまだ終わっていない。再調査を求めなければ。 (ぴ) (11字×46行) #15 映画 黒川の女たち 2025年/日本/1時間33分/ドキュメンタリー/監督:松原文枝/撮影:神谷潤、金森之雅/編集:東樹大介/プロデューサー:江口英明/語り:大竹しのぶ/配給:太秦 生き延びるために 彼女たちは犠牲にされた  「がまんしろ!がまんしろ!」と団員たちに言われ、「性の接待」としてソ連兵に差し出された。その時、彼女たち15人は数え年18歳以上の未婚者。黒川開拓団の一員だった。  日本の国策として進められていた満蒙開拓。岐阜県黒川村からも開拓団が出されたのだ。「関東軍が守ってくれるから」と言われ団が着いたのは中国・満州。そこは元いた中国人を追い出し奪った土地、ソ連との国境近くだった。それでも平穏な暮らしは5年ほど続いた。  だが戦争末期、突然ソ連軍が侵攻してきた。続く日本の敗戦。関東軍は知らぬ間に後退しており、各地の開拓団は苛酷な状況に追い込まれた。関東軍が追い出した中国人たちは土地を取り戻そうと襲撃してくる。そこから逃げだしたもののケガや病との闘い、食糧の確保という困難が待ち受けていた。成年男子が徴兵され、開拓団には女性、子ども、高齢者しかいない。彼らは生きて日本に帰るために敵であるソ連兵に助けを求めたのだ。だがその見返りが性による「接待」だった。  『黒川の女たち』はこの性暴力の実態を「なかったことにはできない」と、70年の沈黙を破り語りはじめた女たちの記録、ドキュメンタリー映画である。  2013年に満蒙開拓記念館で行われた講演会で、開拓団を守るために、性の「接待」としてかり出されたことを告白したのは、佐藤ハルエと安江善子だ。生き延びるために「犠牲になってくれ」と懇願され、「がんばれ!がんばれ!」となだめすかされたという。  そんな彼女たちの犠牲があってこそ帰国できたというのに、彼女たちを待ち受けていたのは差別と偏見、心ない言葉の数々だった。「汚れた娘」と言われ、病院にも隠れて通ったという。村を離れざるをえなかった人もいた。  「事実を内緒にして結婚した人がほとんどだから」「話題にしてはかわいそう」という男性たちの意志で隠されてきた性暴力の実態。だが「隠さなければいけない」という偏見が二次被害を生むことに加害者は気づかない。  時折「性接待」の犠牲になった女性たちだけで集まっては涙を流したという。彼女たちはいたわりあい、言葉をかけあい、手紙を交わしてきた。それを証明するかのように手紙の束が残る。そんな中から尊厳を取り戻してきたのだ。その勇気に涙があふれる。  現在、この社会にも「なかったことにはできない」出来事が数多くあるのではないか。この映画を、彼女たちの勇気ある告白を機に、その思いを強くかみしめたい。  監督は、横浜港へのカジノ誘致阻止で最高権力者に立ち向かった藤木幸夫さんを描いた『ハマのドン』を撮った松原文枝だ。 岡野万里子 ▼公開日/7月12日(土)から順次公開▼上映館/<大阪>なんばパークスシネマTEL06(6643)3215、他、<京都>MOVIX京都TEL050(6865)3125、他、<兵庫>MOVIXあまがさきTEL050(6865)3717、他 (11字×113行) *「接待」という名の性暴力、帰国後の差別と偏見。心身ともに傷ついた彼女たち。だが70年の時を経て、公の場でその実態を語り始めた *(C)テレビ朝日 #16 映画 「桐島です」 2025年/日本/G/1時間45分/監督:高橋伴明/製作総指揮:長尾和宏/出演:毎熊克哉(桐島聡)、奥野瑛太(宇賀神寿一)、北香那(キーナ)/配給:渋谷プロダクション 「罪と罰」を背負い 深く孤独に生きた  2024年1月、末期がんで鎌倉の病院に運び込まれた内田という男が「私は桐島です」と言い出して大騒ぎになったことは記憶に新しい。最期は本名で死にたいと言った桐島聡70歳、連続企業爆破犯として指名手配されてからの逃亡生活は50年近くに及んでいた。  映画は1974年の東アジア反日武装戦線による三菱重工爆破事件から始まり、時系列に沿って、やがて桐島が逃亡生活に入る様子を描いていく。  学生だった桐島は中年になり初老となるが、その時間の流れの中で彼の日常生活は大きな変化もなく繰り返されるだけ。一人暮らしの質素な社宅アパートから工務店に出勤し、たまには音楽バーに出入りしてギターも弾く。その日々の中でいつの間にか彼の部屋は荷物や電化製品が増えて「豊か」になっていく。  結局のところ、桐島の胸の内はよくわからない。この映画がセリフでそれを語らないからだ。ただ淡々と一人の男の日常生活を描いていくだけ。普通の人のそれと違うことは、彼がいつもすぐに逃げられるように靴を履いて寝ていたり、パトカーの音に異様に敏感だったりすること。あるいはビルが爆破される場面を何度も夢に見ること。何よりも、深い孤独を抱えていること。  高橋監督は、「彼らがなぜあのような行動を取ったのか、わからなくていい。ただ、こういう青春があったということを描いた」と述べている。  そうか、わからなくていいのか。いや、映画の中では確かになぜ海外進出企業を狙って爆破するのか、その理由は語られていた。ただ、その言葉は虚空を彷徨(さまよ)う現実味のないものであり、観客にはひとつも響いてこないものだったのだ。むしろ、理解できるのは「人を傷つけたり殺したりするのはよくない」という若き日の桐島の言葉だ。  アジアへの経済侵略と日雇い労働者の搾取によって肥え太る企業に対して、糾弾の声を上げる。その闘争には賛同するが、人を傷つけてはいけない。それが桐島の考えだった。  逃亡生活を選んだのはなぜなのか、何が彼を生かす原動力だったのか、想像するしかない。「うーやん」「うっちー」と周囲に親しまれ、ふだんは寡黙な彼でも、差別発言を耳にすると怒りを露(あら)わにした。恋してくれた女性もいたのに、彼女の気持ちに応えられない切なさが胸を衝(つ)く。  見終わるとともに感慨が静かに漂う、それは最期に本名を明かして死んだ男が背負った「罪と罰」の悲哀だ。心やさしく、ひとに親切で歌が好きだった桐島聡、その深い苦悩を演じた毎熊克哉の瞳が心に残る。 エル・ライブラリー(大阪産業資料館) 館長 谷合佳代子 ▼公開日/7月4日(金)から順次公開▼上映館/<大阪>なんばパークスシネマTEL06(6643)3215、他、<京都>京都シネマTEL075(353)4723、<兵庫>MOVIXあまがさきTEL050(6865)3717、他 (11字×108行) *なぜ爆破事件を起こしたのか、なぜ孤独な逃亡生活を何年も続けたのか。桐島の胸の内はよくわからないが… *(C)北の丸プロダクション #17 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 黒川の女たち ▼2025年/日本/1時間33分/ドキュメンタリー/監督:松原文枝/撮影:神谷潤、金森之雅/編集:東樹大介/プロデューサー:江口英明/語り:大竹しのぶ/配給:太秦▼公開日/7月12日(土)から順次公開 生き延びるために 彼女たちは犠牲にされた  日本の国策であった満蒙開拓。全国からいくつもの開拓団が満州に渡った。だが、戦争末期、ソ連軍が満州に侵入し、やがて日本は敗戦。開拓団は苛酷な状況に置かれた。  岐阜県から海を渡った黒川開拓団も同様だった。中国人の襲撃、乏しい食料、苛酷な環境で病に倒れる者。彼らは生きて日本に帰るため敵であるソ連兵に助けを求めた。そしてその見返りとして、数え年18歳以上の未婚の女性たち15人を「性の接待」に差し出した。  『黒川の女たち』は、この性暴力の実態を「なかったことにはできない」と、70年間の沈黙を破り語りはじめた彼女たちの記録、ドキュメンタリー映画である。  2013年、満蒙開拓記念館での講演会で告白したのは佐藤ハルエと安江善子。そして彼女たちは言う。「満州にいる時より帰国してからの方が悲しかった」と。そう帰国した彼女たちを待ち受けていたのは差別と偏見、心ない言葉だった。  時折、犠牲になった女たちだけで集まり涙を流したという。彼女たちの言葉、取り交わした手紙の束、そして勇気。尊厳を取り戻していく姿に涙があふれる。「なかったことにはできない」、その思いをかみしめたい 岡野万里子 (11字×45行) *「接待」という名の性暴力、帰国後の差別と偏見。心身ともに傷ついた彼女たち。だが70年の時を経て、公の場でその実態を語り始めた *(C)テレビ朝日 映画 <前ページに掲載した映画紹介記事のショートバージョン> 「桐島です」 ▼2025年/日本/G/1時間45分/監督:高橋伴明/製作総指揮:長尾和宏/出演:毎熊克哉(桐島聡)、奥野瑛太(宇賀神寿一)、北香那(キーナ)/配給:渋谷プロダクション▼公開日/7月4日(金)から順次公開 「罪と罰」を背負い 深く孤独に生きた  2024年1月、末期がんで鎌倉の病院に運び込まれた内田という男が「私は桐島です」と言い出して大騒ぎになったことは記憶に新しい。桐島聡70歳、連続企業爆破犯として指名手配されてからの逃亡生活は50年近くに及んでいた。  長い彼の逃亡生活の胸のうちは想像するしかない。映画は彼の日常生活を淡々と描くのみ。質素な社宅アパートから工務店に出勤し、たまには音楽バーに出入りしてギターも弾く。大きな変化もない繰り返しの日々だ。  とはいえ、逃亡生活の緊張は常に彼とともにあった。何よりも、彼は深い孤独を抱えていた。周囲に親しまれ、恋してくれた女性もいたのに彼女の気持ちに応えられない切なさが胸を衝(つ)く。  既にメンバーたちが間違いだったと総括している東アジア反日武装戦線の爆弾闘争について、当初から「人を傷つけたり殺したりするのはよくない」と述べていた言葉どおり、彼は心優しきテロリストだった。  最期に本名を明かして死んだ男が背負った「罪と罰」の悲哀が漂うラスト。ひとに親切で歌が好きだった桐島聡、その深い苦悩を演じた毎熊克哉の瞳が心に残る エル・ライブラリー館長 谷合佳代子 (11字×45行) *なぜ爆破事件を起こしたのか、なぜ孤独な逃亡生活を何年も続けたのか。桐島の胸の内はよくわからないが… *(C)北の丸プロダクション #18 パズル クロスワードパズル <タテのカギ> 1 Tレックス 2 マシーン 3 明るさの単位 4 足全体を覆わず、バンドなどで固定する靴 5 列車 6 エルボー 7 車 8 道具 9 出る〇〇は打たれる 10 〇〇、ナン、シャー、ペー 11 扱い方が厳しく容赦のないさま 12 頭を冷やし、足を暖めること <ヨコのカギ> 1 ポテンヒット 5 話すこと。おしゃべり 13 物事が思いどおりに運ばず残念なこと 14 厚手の丈夫な綿で作るカジュアルなズボン 15 オートバイの乗り手 16 日本の通貨単位 17 笊 18 ギターに似た小型の4弦楽器 19 威力を持って相手をおどすこと 20 外出して家にいないこと 21 〇〇の上にも三年 22 コネクション 23 ←→暖 24 困難に直面しても決してあきらめないこと *■AからGまでの文字をならべかえると… *■答えは「カーテンコールコール」 情報 ピースおおさか ウイークエンド・シネマ  ピースおおさかでは、所蔵する映像資料を広く鑑賞してもらう機会としてウイークエンド・シネマを開いている。7月の上映作品は『マリウポリの20日間』(2023年/ウクライナ・アメリカ合作/1時間37分)だ。  ロシアによるウクライナ侵攻開始からマリウポリの壊滅までの20日間を記録したドキュメンタリー作品。ロシア軍の攻撃で水や食料が途絶え、通信も遮断されて孤立したマリウポリ。AP通信の記者はその町に残り、戦火にさらされた人々の惨状を記録し続けた。 ▼上映日/7月の各土曜日、14時から▼会場/ピースおおさか講堂(大阪メトロ「森ノ宮」駅1号出口から西へ200b)▼参加費/無料、ただし入館料が必要▼申込み不要(当日先着順)▼問い合わせ/ピースおおさか(大阪国際平和センター)TEL06(6947)7208 (11字×32行) #19 報告 2025入門セミナーに全国から17人 読者の「目を引く」 新聞の作り方を学ぶ  機関紙編集者クラブは6月14日、大阪市内で機関紙づくりの基本を学んでもらおうと、入門セミナー・初級コースを開いた。テーマは「見せて 読ませて 納得させて」。全国から17人の参加者が集まり、見出しの立て方、写真のトリミング、読み手に伝わる記事の書き方など実践を交えて学んだ。  冒頭、高屋事務局長はあいさつの中で、「新聞づくりの基本と記事の書き方を学び、さまざまな場面で応用いただきたい」と述べた。  講義「とにかく見てもらうために―機関紙とは何か」では、協力スタッフの辻義治さんが講師を務めた。辻講師は記事に書く出来事の空気感を文字のフォントで表現できる「文字の視覚化」を説明。また読みやすい記事を作るうえで、あえてひらがなを使い、文字のバランスを崩すことが重要だと語った。  続く講義「機関紙のビフォーアフター―レイアウトの手法」、「見せる文字と写真のトリミング」では、写真の配置(レイアウト)や効果的なトリミングの手法を説明。辻講師は、機関紙で読者の目に最初に入るのは「見出し」と「写真」であり、読者の「目を引く」ためにはビジュアルの工夫が欠かせないと述べた。講義の最後には、参加者が写真のトリミングを実践し、写真に込めた意図をより的確に伝える手法を学んだ。  午後の講義「記事に導く見出しをつくる―5W1Hを入れて」では、辻講師が見出しの立て方について解説。「5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)」の要素を見出しに取り入れることで、読者を記事に引き込む臨場感のある構成になると語った。  最後の講義「伝える記事・伝わる記事―記事の書き方」では、協力スタッフの武田和さんが講師を務め、読み手に伝わる記事の書き方について講義を行った。  武田講師は、「記事の書き方に正解はない。ただし、書きやすくなる基本パターンはある」と述べ、「客観的事実」に基づき、「5W1H」を意識して記事を書くことの重要性を強調した。さらに、書いた記事を「読み返す」ことがスキル向上につながるとし、参加者は用意された取材メモをもとに、記事を書く実践に取り組んだ。  機関紙編集者クラブは、これからも編集者の声に耳を傾けながら、機関紙づくりのノウハウを次の世代へ伝えるセミナーを開いていく。 (11字×89行) *武田講師の記事の書き方の説明に聞き入る受講者たち 情報 住まい情報センター 講座「住まいの防災」  住まい情報センターでは「住まいの防災」に関しての講座を開く。第1回は7月5日の「自然災害から家族や住まいを守る『風水害に備える』」。そして第2回は「自然災害に強い住まいをつくる『住まいの耐震』」で7月26日に開く。  地震に大雨、崖崩れと毎年のように自然災害が起こり、大きな被害が出ている。私たちはそれらに備え、どう行動すればいいのか。講座では今後起きうるかもしれない災害について学び、備えを考えることになる。  講座は両日とも会場とオンラインのハイブリットで開く。 ▼日時/〈第1回〉7月5日(土)、〈第2回〉7月26日(土)、時間はいずれも13時半〜15時半▼会場/大阪市立住まい情報センター3階ホール(大阪メトロ谷町線・堺筋線「天神橋筋6丁目」駅下車、3番出口から連絡)▼受講料/無料▼定員/会場50人―オンライン100人(いずれも申込み先着順)▼申込み方法/〈会場〉FAXまたはハガキで。ホームページからも可。<オンライン>HPの申し込みフォームから。備考欄にオンライン参加と記入。詳細は問い合わせを▼申込先・問い合わせ/〒530―8582(住所不要)大阪市立住まい情報センター4階住情報プラザ「住まいの防災【第1回】or【第2回】TEL06(6242)1160、FAX06(6354)8601、URL:https://www.osaka-angenet.jp/ (11字×53行) #20 情報 シネマはやっぱりおもしろい −6・7月公開の映画− メガロポリス  巨匠フランシス・フォード・コッポラが、これまでの映画人生すべてをかけて壮大な物語を生み出した。この一大叙事詩が公開される。  21世紀、アメリカ共和国の大都市ニューローマでは富裕層と貧民層の激しい格差が社会問題化していた。この事態を打開しようと動き出したのが、市の都市計画局局長で天才建築家、また時間を止める特殊能力を密かに持つカエサルだ。彼は自身が産み出した新素材メガロンを利用した新都市WメガロポリスW開発を推進。それは、すべての人間が平等で幸せに暮らせる理想社会でもあった。  だが、新市長のキケロはその開発に真っ向から異を唱えていた。彼は財政難を現実的に解決するため、カジノ建設を計画していたのだ。しかも彼らには、以前、カエサルの妻が殺害された件での因縁があった。  そんな二人の間を取り持とうとする人物が現れる。それがキケロの娘ジュリアだ。当初はカエサルの言動に憤りを持っていた彼女だったが、カエサルのメガロポリス開発にかける思いを知り、共感したのだ。  そして順調に開発計画が進むと思われていたとき、あるフェイク動画がカエサルを陥れ、彼は逮捕されてしまった…  理想社会を追究する人間がいる一方、ねたみや野望で人を蹴落とそうする人間も。そんな物語を唯一無二の世界観と圧倒的な映像美で展開する。▼2024年/アメリカ/2時間18分/脚本・制作・監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:アダム・ドライバー(カエサル)、ジャンカルロ・エスポジート(キケロ)、ナタリー・エマニュエル(ジュリア)/配給:ハーク、松竹▼公開日/6月20日(金)▼上映館/<大阪>大阪ステーションシティシネマTEL050(6861)8100、他、<京都>T・ジョイ京都TEL075(692)2260、他、<兵庫>OSシネマズ神戸ハーバーランドTEL078(360)3788、他 (11字×73行) *(C)2024 CAESAR FILM LLCALL RIGHTS RESERVED  #21 情報(シネマ) ハルビン  伊藤博文暗殺事件。伊藤を狙撃した安重根の名前とともに記憶に残っている人は多いだろう。だが詳細を知る人はそう多くない。そんな事件を真っ向から取り上げた作品ができた。  1908年、日韓協約によって日本による保護国化が進んだ韓国。だが民衆たちは自国の主権を守るため義兵を組織し抵抗闘争を続けていた。  その闘士の一人が安重根だ。彼が率いる大韓義軍は、北部のシナ山で日本軍と戦い勝利を収めていた。そして捕虜となった日本兵を万国法に従って解放した。だが、その逃した捕虜たちが情報を届けたことで日本軍が急襲してきた。数多くの部下を失った安重根。  生き残った安重根はなんとかロシア・クラスキノの隠れ家にたどり着くが、彼を迎えた同志たちの視線は厳しかった。  そんなころ伊藤博文が大連からハルビンに向かうという情報を得た安重根は、祖国の独立を踏みにじる年老いた狼、伊藤博文を抹殺することが、亡くなった同志たちに報いる唯一のことだと確信する。そして、仲間のウ・ドクスン、キム・サンヒョンとともに大連行きの列車に乗り込む。だが、その動きを日本軍に察知されてしまい…。  極限状態のなか、安重根たちの前に立ちはだかる謀略と裏切り。極上のサスペンス・アクション・エンターテインメントに仕上がっている。 ▼2024年/韓国/1時間54分/監督:ウ・ミンホ/出演:ヒョンビン(安重根)、パク・ジョンミン(ウ・ドクスン)、リリー・フランキー(伊藤博文)/配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス▼公開日/7月4日(金)全国公開▼上映館/<大阪>大阪ステーションシティシネマTEL050(6861)8100、他、<京都>MOVIX京都TEL050(6865)3125、他、<兵庫>109シネマズHAT神戸TEL0570(011)109、他 (11字×69行) *(C)2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED 情報 明石市立文化博物館 対話で広がるアート  明石市立文化博物館では、ケアでひらくミュージアム「みる きく はなす〜対話・多言語で広がるアート〜」を7月21日に開く。サブテーマは「見えない人と見える人が、一緒にアートを見る。その先にある世界とは?」だ。  このイベントは、ケアの視点から博物館をひらき、あらゆる方に文化芸術を身近に感じてもらおうという試みだ。当日は常設展と夏季特別展の鑑賞が無料となる他、ドキュメンタリー映画『目の見えない白鳥さん、アートを見に行く』の上映(要事前申し込み・先着順)や白鳥さんと一緒に鑑賞会(要事前申し込み・抽選・有料)、多言語での絵本の読み聞かせなどがある。  みて、きいて、はなすことで広がる新しい世界。体験しに出かけたい。 ▼日時/7月21日(月・祝)9時半〜18時半(入場は18時まで)▼会場/明石市立文化博物館(JR・山陽電車「明石」駅より北へ徒歩約5分)▼上映会などの申し込み方法/HP(https://www.akashibunpaku.com)にある「ケアでひらくミュージアム」の申し込みファームより▼入場無料▼TEL078(918)5400 (11字×43行) 情報 地域の防災力 外国人と一緒に考える  大阪市立阿倍野市民学習センターではネット緒ワーク型市民セミナーとして「地域の防災力UP!外国人といっしょに考えよう!」を7月5日に開く。  現在、大阪市の市民15人に1人は外国人だ。そしてこの街で災害が発生し、避難所での暮らしを余儀なくされた場合、言葉や文化の違う人たちが助け合って暮らすことになる。  このセミナーでは、日本人と外国人が一緒に、もしもの時について考えるというもの。グループに分かれ、通訳も入ってのワークショップとなる。  地域の防災力アップをめざして多様な意見を交わす場だ。 ▼日時/7月5日(土)14時45分〜16時半▼会場/阿倍野市民学習センター(大阪メトロ谷町線「阿倍野」駅下車7号出口すぐ)▼定員/25人(先着順)▼参加費/無料▼申込方法/電話・来館・インターネット(大阪市生涯学習提供システムURL https://osakademanabu.com/abeno/)から▼申し込み・問い合わせ/大阪市立阿倍野市民学習センターTEL06(6634)7951、FAX06(6634)7954 (11字×42行) #22 アートが好き 開催中とこれからの展覧会 「つながる民藝 縁ぐるり―山本爲三郎コレクションより」 ▼会期/7月6日(日)まで▼会場/アサヒグループ大山崎山荘美術館(JR「山崎」駅または阪急「大山崎」駅より徒歩約10分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日▼観覧料/一般1100円、高・大学生500円、中学生以下無料、障害者手帳などをお持ちの方300円▼TEL075(957)3123(総合案内) (11字×15行) *河井ェ次郎 《スリップウェア線文鉢》 1931年 アサヒグループ大山崎山荘美術館蔵 「京都の巨匠・木島櫻谷 画三昧の生涯」 ▼会期/7月6日(日)まで▼会場/〈第1会場〉福田美術館(阪急嵐山線「嵐山駅」から徒歩約11分)、〈第2会場〉嵯峨嵐山文華館(阪急嵐山線「嵐山駅」から徒歩約13分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼入館料/<2館共通券>一般・大学生2300円、高校生1300円、小・中学生750円、障がい者と介添人1人まで各1300円▼TEL075(863)0606(福田美術館) (11字×17行) *木島櫻谷 《馬図》(部分) 1907(明治40)年 福田美術館蔵 前期:福田美術館/後期:嵯峨嵐山文華館展示 特別展「生誕100年 中村正義―その熱と渦―」 ▼会期/7月6日(日)まで▼会場/奈良県立美術館(「近鉄奈良」駅1番出口から東へ徒歩約5分)▼開館時間/9時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/月曜日▼観覧料/一般1200円、大学生1000円、小・中・高校生・18歳未満・障がい者手帳などをお持ちの方(介助者1人を含む)は無料▼TEL0742(23)3968 (11字×14行) *中村正義 《雪景色》 1969(昭和44)年 岡崎市美術館蔵 「野球とデザイン―デザインで辿る阪神タイガース」 ▼会期/7月27日(日)まで▼会場/西宮市大谷記念美術館(阪神「香櫨園」駅下車、南西に徒歩6分)▼開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)▼休館日/水曜日▼入館料/一般1200円、高・大学生600円、小・中学生400円、ココロンカード・のびのびパスポート・障害者手帳などを提示の方(介助者1人含む)は無料、西宮市内在住の65歳以上の方は600円、西宮市内在住の一般の方は1000円(いずれも要証明書提示)▼TEL0798(33)0164 (11字×20行) *ポスター「大阪タイガース来る」 早川源一 1936年 野球殿堂博物館蔵 「山王美術館コレクションでつづる エコール・ド・パリ展」 ▼会期/7月31日(木)まで▼会場/山王美術館(JR「京橋」駅西口改札・京阪「京橋」駅片町口改札から徒歩約5分)▼開館時間/10時〜17時(入場は16時半まで)▼休館日/火・水曜日▼観覧料/一般1300円、高・大学生800円、中学生以下500円(保護者同伴に限り2人まで無料)(要学生証)▼TEL06(6942)1117 (11字×14行) *マリー・ローランサン 《真珠で装うエヴァリン》 1936年 山王美術館蔵 「広がる屏風、語る絵巻」 ▼会期/8月3日(日)まで▼会場/細見美術館(京都市バス「東山二条・岡崎公園口」下車、東へ徒歩約3分、地下鉄東西線「東山」駅2番出口より北へ徒歩約10分)▼開館時間/10時〜17時▼休館日/月曜日、祝日の場合は翌火曜日▼入館料/一般1800円、学生1300円▼TEL075(752)5555 (11字×13行) *展覧会チラシ #23 ミニニュース 3千年前のマヤ文明 都市の遺跡発見  中米グアテマラの文化省は5月29日、同国北部ペテン県にあるマヤ文明の遺跡ワシャクトゥン近郊で、約3000年前の都市の遺跡が発見されたと発表した。重要な儀式の場だったことを示すピラミッドや碑があるという。  紀元前2000年頃に誕生し、紀元400〜900年に最盛期を迎えたマヤ文明は、現在のメキシコ南部およびグアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラスの一部にまたがっている。文化省によると、今回発見された都市はワシャクトゥン遺跡から約21キロの場所に位置し、約16平方キロの広さに及んでいる。  マヤの「先古典期中期」に属する紀元前800〜500年頃の都市で、メキシコ国境に近いペテン県のジャングル地帯における「最も古く重要な儀式的中心地の一つ」と考えられている。  同省は「地域特有の図像が彫刻されたピラミッドや記念碑とともに、卓越した建築計画が見られる遺跡」だと説明した。  遺跡は、発見された「カップル」のように見える彫像にちなみ、スペイン語で祖父母を意味する「ロス・アブエロス」と命名された。 (11字×42行) ネットカジノ 接続禁止を要請  日本向けにサービスを提供するオンラインカジノサイトにライセンスを発行しているオランダ領キュラソーやマルタなど八つの国や地域に対し、日本からの接続を禁止するよう日本政府が要請を始めたことが6月16日、政府関係者への取材で分かった。日本から接続して金を賭ければ賭博罪に当たるにもかかわらず、日本語で利用を促すなどしており、政府は違法賭博につながるとして初めて対策の実施を申し入れた。  要請先は他にアフリカ・コモロのアンジュアン島、コスタリカ、ジョージア(グルジア)、カナダなど。オンラインカジノはスマートフォンなどで手軽に接続できる上、違法性の周知も乏しく、若者を中心に利用が広がっている。  サイトに誘導する発信を禁止するギャンブル依存症対策基本法改正案が近く成立する見通しで、政府は成立後に改めてこれらの国に対策実施を要請する方針だ。 (11字×35行) 研究所引き出しに Tレックスの骨  モンゴルの研究所の引き出しに50年間放置されていた恐竜の骨が、ティラノサウルスの新種に属するものであることが判明し、研究者グループが6月11日に明らかにした。  学術誌「ネイチャー」最新号に掲載された論文によると、この新種はティラノサウルス・レックスの祖先に当たるもので、全長約4メートル、体重は約750キロと推定される。  化石は1970年代初めにモンゴル南東部で発掘され、当時は別のティラノサウルス類であるアレクトロサウルスのものと分類された。その後、首都ウランバートルのモンゴル科学アカデミー古生物学研究所の引き出しに保管されていた。  分析の結果、化石は新種の二つの異なる個体の骨格の一部であることが判明したという。 (11字×30行) お知らせ ログインにはユーザー名とパスワードを  機関紙編集者クラブの公式ホームページ「機関紙@編集者クラブ」をご活用いただき、ありがとうございます。  毎月本紙「編集サービス」発行から2〜3日後に更新しているこのホームページですが、会員向けのメンバーページへアクセスするためには、ユーザー名とパスワードを入力するログインが必要となっています。またパスワードは毎月1日を基準として1カ月ごとに変更しています。なお、ユーザー名およびパスワードにつきましては別表をご確認下さい。  会員の皆様にはお手数をおかけすることになりますが、セキュリティーの強化のため、ご協力いただきますようにお願いします。  なお、記事や写真のダウンロードなどメンバーページの利用方法は従来通りですので、会員皆様の機関紙作成にご活用ください。 ホームページ URL  http://www.club2010.sakura.ne.jp メンバーページ ログイン  <ユーザー名>  club  <パスワード>  g6ah698s(6月末日まで)  59h8t1r6(7月1日より) #24 データウォッチング キャッシュレスが当たり前 コード決済が5年間で17倍に  キャッシュレス決済が常態化している。中でもPayPayなどのコード決済の伸びが大きく、24年の利用額は5年前の17倍となる18・7兆円となった。  理由は実店舗でもオンラインでも利用でき、納税や公共料金など支払い対象が広がるなど使いやすくなっているからだ。  23年のキャッシュレス決済額ではクレジットカードが84%を占め、コード決済は9%だったが、今後ますますその利用は増えていきそうだ。 (11字×18行) *2025年5月17日朝日新聞