日本画の美人画の名手として真っ先に思い浮かぶのが上村松園。2025年はその松園の生誕150周年だ。 上村松園をはじめ国内有数の美人画を所有する福田美術館では、彼女の生誕150年を記念して「上村松園と美人画の軌跡」を、そして嵯峨嵐山文華館では「浮世絵と美人画の軌跡」と2館共催でコンセプトの異なる美人画展を開いている。 明治から昭和にかけて活躍した上村松園。細部にまでこだわったきものの柄、髪の生え際、後れ毛、その一筋までも丁寧に描きあげた美人画はまさに美の極致といえる。 第1会場の福田美術館の第1章では、松園が第1回文展で3等賞を受賞した《長夜》や《二軒茶や図》といった名作に加え、次世代の女性画家たちの作品を紹介。そして第2章では上村松園とともに「三大美人画」に数えられた鏑木清方、伊東深水の作品を、第3章では岸田劉生や東郷青児など、洋画家たちが描いた女性像を紹介する。 第2会場の嵯峨嵐山文華館では、福田コレクションの中から江戸時代に描かれた肉筆浮世絵をはじめ、芝居の演目に登場した女性や、花柳界で活躍した女性を描いた浮世絵などが展示される。 嵐山に集結した美人画たちに酔いしれる展覧会となった。
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