日本語で超現実主義と訳されるシュルレアリスムは、約100年前、第1次世界大戦後の荒廃した社会の中で、この世界を変えることを共通の精神として発生した。そしてそのさまざまな創造行為は、時代とともに影響力を強めていった。 大阪中之島美術館で開かれている「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」は、今まさに社会全体へと拡大したシュルレアリスムの本質に迫るものだ。 展覧会は六つのセクションに分かれて展開。まずシュルレアリスムの扉を開くのは「超現実」と向き合ったシュルレアリストたちのオブジェだ。そして視覚芸術である絵画では、マグリットやダリといった個性豊かな作家の作品が並び、私たちは深層心理を反映した不可思議な光景や人物像を見ることになる。 またマン・レイを筆頭に、多様な技法で日常のモチーフを謎めいたイメージへと変容させた写真作品や、シュルレアリスムのテクニックを発揮し訴求力に富んだ広告ポスターたち、そしてファッションとの近接した関係、違和感を醸し出し、日常の安定を転覆するインテリアへと展示は続く。 これまでの常識やイメージを覆すのはもちろん、社会そのものを変革しようとした圧倒的な表現に出会える展覧会だ。
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