マンガの神様と呼ばれた手治虫。彼の代表作の一つ『ブラック・ジャック(B・J)』の展覧会が過去最大規模で開かれている。それが、あべのハルカス美術館の「手治虫 ブラック・ジャック展」だ。 1950年代より『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』などのヒット作を次々発表し、ストーリー漫画、アニメーションの第一人者となった手治虫。そんな彼にも低迷期があった。1960年終盤から1970年前半にかけて、折からの劇画ブームや新人作家たちの台頭で人気に陰りが出ていたのだ。そんな暗黒ともいえる時代のまっただ中、1973年に発表したのが『ブラック・ジャック』。 これは当時、誰も手がけていなかった日本の医療をテーマとした作品で、この孤高の天才外科医を主人公としたヒューマンドラマは徐々に人気を獲得、気がつけば10年を超えて掲載される超ヒット作となった。 展覧会は四つのセクションに分かれ、作品の誕生秘話や登場するキャラクターの紹介、B・Jの魅力をひもとくとともに昭和という時代を感じることができる構成で、中でも圧巻なのが約140話の原稿が並ぶ第3室だ。B・Jのすべてを体感する展覧会となった。
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