日本美術史において最も重要な画家のひとりである雪舟。「画聖」と称された雪舟の近世における受容について焦点を当てた「特別展 雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―」が京都国立博物館で開かれています。 雪舟が「画聖」と呼ばれるのはその傑出した画業のためだけでなく、後世に多大な影響を及ぼしたことにもよります。会場には狩野探幽、尾形光琳、円山応挙をはじめ、西洋画の司馬江漢など、雪舟を慕い、雪舟に学び、それぞれが新たな表現を切り開いた画家たちの作品が並びます。桃山時代に活躍した長谷川等伯や雲谷等顔は雪舟の画風を継承し、後継者を名乗りました。 また、現在では雪舟のものと認められていない作品や所在不明の作品なども含めて、かつては数多くの雪舟の画が流通し、広く受け入れられていた様子も各種の資料から見て取ることができます。 今回は雪舟の国宝に指定された6件の作品すべてが展示されており、これを見るだけでも会場に足を運ぶ価値があります。重文「四季花鳥図屏風(びょうぶ)」は雪舟の唯一の花鳥画と言われ、曽我蕭白など多くの画家に影響を与えました。なお、この企画は京博だけのもので他への巡回はありません。
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