大正時代、一世を風靡した「夢二式美人」画。どれも長身で小顔、儚げな表情が印象的だ 大正ロマンを代表するアーティスト、竹久夢二が2024年に生誕140年、没後90年を迎える。夢二は「夢二式美人」画で一世を風靡(ふうび)し、時代の寵児(ちょうじ)となったが、その創作は画業だけにとどまらず挿絵に詩作、小説、そしてデザインまでとマルチに才能を発揮した。 そんな彼の回顧展である「生誕140年 竹久夢二のすべて 画家は詩人でデザイナー」が福田美術館で開かれている。夢二の創作のすべてを見る展覧会でもある。 展示は六つのセクションに分かれて進む。中でも第1章「夢二式美人の魅力」では、竹久夢二の名前を不動のものとした美人画が並ぶ。舞妓(まいこ)やカフェの女給、野良着の娘など。日本画や油彩、パステルなどで描き出された女性たちの表情は憂いを帯び、どこか儚げ。まさに夢二式美人だ。 他にも、風景画や憧れの地、長崎ゆかりの作品や恋人への手紙などで夢二の生涯をたどり、自身が執筆した小説に添えた挿絵原画とその小説の一節の展示を通して彼の文才と感性を紹介。また数多く手がけた楽譜の表紙や、自らデザインした千代紙や便せん、装丁本の展示からは、今で言うグラフィックデザイナーの側面を見ることになる。 ほぼ独学であらゆる才能を開花させたという。まさに天才アーティスト、竹久夢二に出会える展覧会となった。
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